目が覚めると、いつも青い空となだらかに広がる耳納の山があって、窓を開けると、青い風が入ってくる。
昼は蝉の鳴き声と
夜は蛙の鳴き声と
私も、負けないくらいに泣き叫べばよかったのだろうか。
ここで、笑ったこと
ここで、泣いたこと
沢山の事があったけれど、溢れるほどの自然の中で過ごせた事を幸せに思う。
この地で暮らせたこと、忘れません。
心から感謝します。
ありがとう
そして、さようなら
暑い日が続いて、その中で沢山の思い出が詰まった荷物の片付けに少しバテてしまいました。
暑いし、それに気持ちが少し弱ってるからとばかり思ってたから・・・
とにかく乗り越えようと、そればかり考えていたから・・・
でも、あまりに辛くて病院に行ったら、熱がありました。引越しの日が迫っていたので少し焦ってたんですね。いつの間にか冷静でなくなっていた事に気が付かされました。
今朝は薬がよく効いたのかグッスリ眠ったような気がします。
それに、別れると決まった日が随分と昔であったような不思議な感覚の朝を迎えました。

私以上に大切なもの

2002年7月22日
別れるという事はどちらかが嫌いになってしまって、もう一緒に暮らせないと確信したからでしょう?それなのに今はまだ愛してるから、丁度いい時期だろうと思って・・そんな言葉は聞きたくありませんでした。
別れるって事はそんな綺麗ごとじゃない・・思いやりのつもりかも知れないけれど、もう終わりなんです。
あなたには私以上に大切なものができたのだから・・
だから、今度の住所は?家賃は?なんて問い詰めて直ぐに返事が無いと苛立ってることが私には矛盾してるというか、何故必要以上に心の中にズカズカと入ろうとするのかが信じられないのです。
私と子供が幸せになるまで見守ってるなんて言葉も聞きたくありませんでした。
私からすれば、逃げてるようにしか聞こえない・・もう嫌いになったから・・干渉されたくないから・・でいいのです。
じゃなければ別れる意味がありません。

でもね、久し振りに以前のあなたに触れたような気がしました。若かった頃は話もいっぱいしてくれたし、怒ってくれたし、心配もしてくれたし、好きだって言ってくれたし・・いっぱい抱いてくれたし・・
今となっては懐かしい思い出です。
私たちが別れて別々の暮らしを始めることは、主人から子供に話をすることに決めていました。
昨夜、子供から「さっきお父さんから電話があって別れること・・聞いたよ」って・・遠い電話の向こうから聞こえる子供の声はとても落ち着いて、もう仕方がない・・というか、もうお父さんとお母さんが決めたんでしょ・・と割りと淡々としていました。多分これから少しずついろんな想いが交錯して涙したり、苦しんだりするのでしょう。
泣き喚いたり、怒ったりすることも無く一生懸命に納得しようとしてるようで、本当に申し訳なく「ごめんね」としか言えませんでした。
何だか良くも悪くも私によく似てるなぁと・・。
私は精神的にはもう殆ど大丈夫です。主人が別れようって言葉にする、その瞬間まで確かに愛していました。でも、自分で生きていかなくてはという状況になってしまった以上、後戻りすることはないのだから前向きに自分自身を奮い立たせるように努めました。
ただただ辛いのは今まで夫婦として家族として一緒に過ごした全てが否定されるようで、どうしてもやり切れないという想いはあります。
でも、日を追うごとに愛情というものはどんどん薄れていくんですね。あなたは、もう何の後ろめたさも感じることはありません。
自分の生き方をされたらいいと思っています。
今の私の心の中は、子供のことと、新しいこの街はどう私を迎えてくれるのだろうか・・という想いだけだから・・。

心の中の軌跡

2002年7月18日
古いアルバムの中の二人・・
あの頃の空気が伝わってきて胸がキュンとするのです。
子供が生まれたときの感動・・
沢山の写真につい目頭が熱くなるのです。
あの頃は、誰よりも私を大切に想ってくれていたのでしょうか。
そんな楽しかった思い出が少しずつ、辛かったり悲しかった思い出に変わっていくのです。
子供を挟んで楽しそうに微笑んでいる私が写真にいる・・でも、この時の私は心から笑ってなんかいませんでした。
この頃からだったのかも知れない・・心の中の軌跡がはっきりと見えてきました。

ただただ、切なくて

2002年7月17日
荷物の整理を始めました。
1DKの古い小さなアパートに持っていける荷物は僅か・・
あなたは、実家に戻るから家財道具は必要なく・・
20数年の思い出は処分しなくてはいけないものばかり、ひとつひとつ開いては閉じるの繰り返しは、ただただ切なくて、胸を締め付けられます。

夕方、主人が2時間ほど立ち寄りこれからの事について少し話しをしました。
本当に20数年という時を、此処にいるあなたと一緒に過ごして来たのだろうか。
手に触れたい・・抱いてもらいたい・・
そんな想いが確かにあったはずなのに、何処に仕舞ったのだろう。
それなのに、こんなにも切ないのは何故なのでしょう。

引越し先が決まった

2002年7月16日
台風7号が過ぎ去った後の、うだるような暑さで一日が始まった。
慌てて目覚める必要もなく暫らくは、ぼんやりと窓から景色を眺めてしまう。
一人では、この家はあまりに広すぎて・・
これは夢ではない・・す〜っと頬を流れるものを拭っては、気持ちを奮い立たせる。

引越し先が決まった。
ほぼ一日歩き回ったから疲れてしまって、帰りの高速バスの中では熟睡してしまいました。
もうすぐ、新しい暮らしが始まる・・
この町は私をどう迎えてくれるのだろう。

あなたへの想い

2002年7月15日
もう別れる事は決まったのだから、あとは少しずつ一人で生きていく自信を取り戻していくだけなのです。
それが、電車の中であったり
バスに乗った時であったりするのです。
今まで、外に見える山々を見て、あなたと一緒に山歩きしてみたいと、何気なく掛けた言葉は一方通行のままで・・・
あなたは、いつも何処を見て何を考えていたのでしょう。
でも、もう誰に気兼ねをする事もなく一人で歩いていいんですね。
返ってこない言葉に悲しまなくてもいいのですね。
そう思ったら、あなたへの想いが、すぅ〜と引いて気持ちがどんどん薄れて離れていく・・
もう後戻りすることはないのだと確信しました。

以前、お勤めしていた会社の仲間が、飲み会があるから、おいでよね!って声を掛けてくれました。
もう、みんな揃って会うこともないような気がして、少し気落ちはしていたけれど行きました。
仲間の中では、私はまだ平凡で幸せな奥さんのままではあるけれど・・私は、笑えたのです。
もう笑うことなんてないとさえ感じてしまう毎日だったから・・
「また、みんなで会おう」って手を振って別れたあと、胸に込み上げるものがあって、後から後から涙が溢れてこぼれていくのです。
月明かりもない真っ暗な夜だったから、声をあげて泣きながら帰りました。

とても賑やかに蝉の鳴き声が聞こえています。
県外の大学にいる子供に送金する為に銀行に出かけ
た帰り道の商店街を、若い夫婦らしき二人がゆっくりと、散策でもするように歩いていました。
その姿が何故かとても懐かしいような、なんとも云い様の無い不思議な感覚にとらわれてしまったのです。
私も、初めてこの地に来た時は、確かに二人一緒だった。
少し寂れたこの商店街も、新鮮で・・
あの頃、二人の間にあったものは何だったんだろう。
愛し合っていたはず・・のようなものだったのだろうか。
別れてしまう事が悲しいのではなく、今までの全てが否定されるようでとても辛いのです。
そんな空しい気持ちに苛まれている自分が情けなくて涙が溢れてしまう。
昨夜、主人が2時間ほど話をしに帰ってきました。
どうして、そんなにも私の話を聞こうとしてくれないのかと涙が止まりませんでした。
初めてあなたが決めたくれた事だから、私は喜んで全てを受け入れました。
あらゆるものに対してのメンツや不安、そして解放と自由・・・複雑な気持ちはあなたも同じなのでしょう?
でも、あなたがお互いに別々の道を行く方がいいと決断してくれたのだから、私はその気持ちを素直に受け入れることにしました。
でも子供が卒業するまでの養育費に関する証書は万が一の為にも作っておかなければ思うのに、俺を信用しないのかと話が止ってしまう。
私は、他には何一つ欲しいものはないのだから、最後の日まで何の意地を張らずに話をして行きたい。
それなのに、何故こんなにもすれ違うようになってしまったのだろう。

遠い将来、何処に住むかはまだ決めてませんが、まずは住む所を探さなくてはいけません。
働くには此処は随分と田舎なのでこの町を出なくては・・まずは、働ける環境に自分の身を置こう。
まだ、退院して間もなく少し調子が良くないけれど、数日中には活動開始する予定です。
不安といえばその事が一番の気がかりではあるけれど、気持ちが負けてしまえば始まらない。
私には大地を踏みしめる足がある。
先に届を出してフリーになってしまうと住む所にしても借り難くなるので住む場所が決まって一段落したら親権や卒業するまでの学費等の支払い等、文書にして取り決めなくてはいけません。
その時は子供を入れて話をしなくてはと考えています。
此処を出るための費用だけは準備して貰わなければ・・それが、手切れ金となるのでしょう。

台風6号の影響で、真っ黒にうごめく雲が空一面に広がると薄暗い闇が訪れ、それでも、強い風に煽られ雲をかき分けるように眩しい位の陽射しが全てを一気に照らし始める。今の私には、そんな一つ一つがとても心強く感じられます。負けません。
気分はとても穏やかです。
主人の沢山の親戚から開放されることを考えると、辛かった日を想い、自然に涙がこぼれてしまいました。
もうすぐ自由になれる・・
親戚というだけで、人を追い詰める冷たさ・・
いつの間にか、あなたは私の側ではなく向こう側にいて、助けを求める私から目をそらすようになっていました。 
それでも、私には子育てが楽しくて可愛くて・・
その子供は、明るく元気に育ち、大学生として遠くへ飛び立って行きました。
これが最後のチャンスかも知れない・・小さな期待と、大きな不安を胸に旅立とうとしている私が此処にいる。
離婚することが決まりました。
子供はこの春に県外の大学に進学していきました。
その日を境に、気持ちを抑える必要がなくなり、会話もほとんどなく、どうにか保っていた夫婦という形は、静かに崩れはじめました。
あぁ・・夫婦ってこうして崩れていくんだと身にしみて感じました。とても脆いことも知りました。
これから具体的に話を進めていかなくてはいけません。
私は見知らぬ世界に足を踏み入れようとしているのです。 
夜が明けて、昨日が七夕の日であったことを思いだしました。
それは、とても静かな朝でした。



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花

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